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今年最後に読んだ本 「百年の誤読」岡野博文・豊崎由美 著

ちくま文庫には「本に関する本」が多いと思う。好きなジャンルなのでちょくちょく買うが、これもその手の一冊。20世紀の100年間、国内でベストセラーになった本を対談形式で批評していくというもの。
最近のベストセラーというと内容スカスカでどうして売れたのか分からんものが多い。
そういうものは、もちろんズバズバと切り捨てている。でも評価する部分ちょっとでもがあれば、きちんと評価するところに単なる悪口言い放題ではない、この二人の本に対する愛情がみてとれた。

面白いのは、明治大正の物も最近の作品に対するのと同じように俎上に載せている点で、つまり「金色夜叉」から「DEEP LOVE 第一部 アユの物語」まで同列に並べて批評しているといところだ。

古典といわれる作品もかなり手厳しく扱われている。例えば川端康成の「雪国」は「ただの色惚け?『雪国』」という表題で、登場人物のとっぴな言動を笑っているし、「智恵子抄」なんて高村光太郎の人間性に関してボロカスな物言いをしている。

ひとつ分かったのは、おバカなベストセラー本というのは明治時代からあったことはあった、ただ最近はその割合がやたら多いということ。
作者の言によると1960年を境にフォッサマグナ的な変化があって「読書傾向が『だらしな派』に切り替わって」しまったらしい。

一番驚いたのは、これはまったく自分の思い込みだったのだが、田山花袋の「蒲団」の内容。
自然主義の小説の代表作として教科書には必ず載っていて、テストのために田山花袋=蒲団、志賀直哉=城の崎にて、というふうに題名だけは暗記していた。ただ内容については自然主義ということで、なんとなく蒲団にも苦労するような貧乏話なのかなと漠然と思っていただけだっだが・・全然違ったのですね。
これ一種の私小説で、以下本文を・・・

豊崎 
「え、なんで?可愛いオヤジじゃん。『蒲団』いいじゃないですか。家庭生活に倦んでいて、「ああ、恋愛したい」なんてほざいている中年作家のところに女弟子がやってくる。
で、ときめいちゃうんだけど、その娘は年相応の男子と恋に落ちる。悶々とするオレ、恋愛の邪魔をしたいオレ、女弟子が故郷に連れ戻されれば彼女が使っていた蒲団に顔をうずめて泣くオレ・・そんな話(笑)。」

中年ストーカーおやじの話じゃん!授業で内容にふれなかったわけだ。

クロッキー。近くのシネコンで描いたもの。

P02

P01

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コメント

川端康成も親しみ宿泊・書かれた修善寺:新井旅館に就職ですはじめまして!・・・お疲れ様です。  1/9書き:修善寺の温泉地:【新井旅館への通勤が厳しいが!?】。第一期ニート時代でしたが早速、由緒ある新井旅館に内定しましたが、通勤メチャ厳しい!【サラリーマン編】 、面白い画像も存分に楽しんで見て下さい。コメント等いただけたら幸いです。自分の【学生編】当過去ブログにも、当時の写真・面白い・可愛い・画像・動画ありますので、時あれば、楽しんで見てやって下さい。


投稿: 智太郎 | 2009年1月11日 (日) 09時47分

I really prize your piece of work, Great post.

投稿: Victoria | 2014年2月23日 (日) 07時40分

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