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あえて「僧正殺人事件」を読んでみる

いわゆる名作といわれる古典的な作品は、若い頃は集中して読んだが、ある年齢以上になってからはあんまり読んでいない。
名前は良く知っていても読んだことのない本って沢山あるもんなぁ。

例えば川端康成は一冊も読んだことが無いし、芥川龍之介も教科書以外では読んだ覚えがない。
夏目漱石はほとんど読んだが、「坊つちやん」と「吾輩は猫である」は読んでいない。
外国のもので言えば、「カラマゾーフの兄弟」は読んだが、「罪と罰」は読んでいないし、ヘミングウェイは確か中学の時くらいに「誰がために鐘は鳴る」を途中で投げ出して以来読んでいない。

だけど、長い間読みつがれてきた名作と呼ばれる作品は、文学的な価値はもちろん、通俗的な意味でも結構面白いということを、去年初めて読んだ谷崎潤一郎の「細雪」で気が付かされ、それ以来ちょくちょくその手のものを読んでいる。

では、エンタテインメント系の古典的名作はどうだろうか?
で、「僧正殺人事件」を読んでみた。ヴァン・ダインを読むのは初めて。
1929年刊行、文中に「戦後のアメリカ云々・・・」と出てくるが、それが第一次世界大戦のことだったりする。

意外だったのはこれが、大向こうをうならすようなトリックを売り物にした小説ではなく、どちらかというとサスペンスだったこと。
犯人は一種のサイコキラーで、それがまともそうに見える登場人物の中に紛れ込んでいる。
探偵も証拠やアリバイ調べ以外にも、現在で言うプロファイリングの手法で犯人に迫っていく。
さすがに探偵も警察もややのんびりムードだが、スリリングな展開は今読んでも充分楽しめると思う。

凶行の場面の描写がないので、犯人の印象は読後も穏やかな人物のままだが、その知性といい行動力といいハンニバル・レクター博士の原型のような怪物だ。

関係ないが最近描いたモンスターを。
時々発作的にこの手の絵が描きたくなる。

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コメント

読書はいいものです…
書かれた作家というものが既にこの世の人でなく
書かれた時点での作家の心情思考というものが時と空間を越えて伝わってくる…多分古典名作についてはこういった奇跡を廻っているのですね
外国語がわからなくても時代と国境を越えて同じ思考体験ができるのも名作翻訳ですよね

読書はとてもシンプルなシステムなのに著者と時空を超えて話が出来る
私にとっても大切な趣味のひとつが読書です
最近はある著者の作品ばかり凝り固まって読んでいます

投稿: hideaki | 2008年2月 8日 (金) 22時47分

まあ、人間の本質なんてみんな似たりよったりでしょうから、すぐれた文学作品は時代や国境を越えて、共感を得ることが出来るのでしょうね。

前に読んだプルーストの「失われた時を求めて」の中に、好きな女性の行動をあれこれ邪推して、嫉妬に懊悩するダメな男の話があったのですが、「これ、まんまオレのことじゃん」と思ったことがありました。

投稿: 若林 | 2008年2月 9日 (土) 17時02分

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